京の商家で昔から作られてきた「おばんざい」を歳時記に従ってご紹介させて頂いておりますが、このレシピと並行して「恥さらし」もええとこと思えるような裏話も意匠会議での議題も含め、折に触れ発信させて頂くようになりました。
当方は、「おばんざい ― エコ料理 ― 粗末でない始末な料理」と自負しておりますが物は取りよう「けちでずぼら」「しみたれてる」「今更分かりきった事を」......等々。まあまあ人それぞれの受け取り方でお付き合いください。
なお、これから述べる料理は、材料は原型のまま使わないとか、盛り付けは器の選択も含め一手間かけるとか、色々工夫してそれなりに品格のある一品にしたいものです。
(きずもん、へた、われ、はんぱもん大好き)
曲がった胡瓜、へいぼの胡瓜
料理番組等で野菜の見分け法が大流行り。
「胡瓜は真っ直ぐで、花落ちと付け根の太さが均等なものを」「育ち過ぎて太くなったのは種が多く堅いからだめ」といった調子。
この為、農家では家族一同が夜なべして、手の温もりで曲がった胡瓜を伸ばしたはるとか、畑には太い胡瓜がほかしてあったとか... ああもったいない。嬲(なぶ)りたおした真っ直ぐな胡瓜より「へいぼ」でも刻んでしもたら味はこの方が新鮮。太い胡瓜は皮を剥き、縦長に二つ切りして種を指でしごき捨て、一口大に切って茹で、片栗粉か葛粉でとろみをつけた薄味汁にしたら、わざわざ冬瓜や青瓜使わんでも... 近郊の加茂のおばさんはサービスやいうてくれはります。八百屋でも大盛りを安うして売ったりしてます。
破れたおあげ、おから
最近はスーパーや大型店進出で、町のお豆腐屋はんの数もめっきり減ってしまいました。けれども家族でがんばって自家製のお豆腐を造ったはるとこも、まだ仰山あります。その店頭の片隅に置いてある傷物の破れたおあげ、隣に並べたるおからの玉とを安く買ってきて冷蔵庫の中の残り物の野菜や焼魚等と一緒に細こう刻んで煮魚の残り汁で煎煮をしたら栄養満点の常備菜一品出来上がり。
蒟蒻(こんにゃく)のへた、蒲鉾(かまぼこ)のへた
長方形や花形にきれいに切り整えた後のおこんにゃくのへたばかり山盛り100円で売ったはる店があります。よいとこ取りのへたで手網蒟蒻煮を作り、残ったこまかいへたは細く短冊切りにしてきんぴらに加えたり、かやくご飯の具に使ったり、白味噌の豆腐のおあえに入れたりします。棒状の牛蒡と一緒に空煎煮したのも常備菜やお弁当のおかずとして重宝な一品となります。
蒲鉾のへたは、ちらし寿司、焼き飯、おあえ煮物の色取り等々、仰山使い道があります。
湯葉の樋(とい)
おゆばを製造する時に出来る先端の丸筒のへたを樋(とい)といいます。油で素揚げして塩を少し振りかけて、冷めてから缶等に保存しておいて、ビールやお酒のおつまみにどうどす。
パンの耳、へた
耳は天ぷらのついでにでも素揚げして、粉砂糖とシナモンを振りかけておけばおやつに。
へたは、砂糖と牛乳を加えた卵汁にしっかり漬け込んだ後、バター焼きすれば歯ごたえのあるおいしいフレンチトーストが出来ます。